創設者 ジョージナ・テリーについて

about

バックグラウンド

ジョージナ・テリーはアラバマ州で生まれて育ちました。二歳のときにポリオを患い小児麻痺が残ってしまいましたが、家族も友人も彼女に残った障害を気にしませんでした。彼女自身も障害を気にせず木にのぼったり自転車に乗ったり、他の子供たちと同じように活発な子供時代を過ごしました。大学では機械工学の学位とMBA学位を取得し就職。一般企業で勤める傍ら、自転車のフレームに興味を持ち、自宅の地下室でフレーム製作を始めました。自転車のフレームそのものに興味があったからです。バーナーを買い、友人に使い方を教わり、金属学などの本を読みふける。休日はフレーム製作に没頭する。そんな日々を過ごしていました。
1980年代初頭の自転車店では女性には数えるほどの選択肢しかありませんでした。
その時代、メーカーから販売されているほとんどのものは男性向けに設計されており、女性用となると、男女兼用サイズで男性用自転車を小さくしたものしかありませんでした。多くの女性は不便を感じながらもいつかその不便に慣れることを期待して男女兼用サイズの自転車に乗っていました。選択肢が他に無かったからです。加えて、その時代に作られていたサドルはどれも非常に硬く男性でも「お尻の痛み」に悩まされる人は多くいました。もちろん女性もです。レースに出場するような選手でも、女性は皆サイクリングウエアーでさえ男性用を着用していたのです。

女性用自転車の設計製作会社立ち上げへ

そんな事をしているうちにジョージナの元には地元の自転車乗りが集まるようになり、自転車を作って欲しいと言いに来るようになりました。その人達は常々自分の自転車の乗り心地が悪いと感じていたのです。筋肉痛になったり、腰が痛かったり。そんな話を聞いて、彼女はさらに解剖学を勉強することにしました。解剖学的にみると、女性と男性では体のつくりが違うことがわかりました。腕や胸の筋肉量は男性より少ないなど、体の筋肉のつき方が違うので当然筋肉の重心も違います。それでも男性と同じ自転車に乗ることはできますが、気分がいいものではありません。これは設計にあたり考慮すべきとても重要なことです。彼女は言います「自転車に乗るうえで我慢は必要ないと思っています」。地下室で自転車を作っている事が世間に広まるにつれ、需要も増加していきました。彼女は「女性にも適切にフィットする自転車が必要とされている。そして、そこにさらに大きな世界が広がっている」と確信し、勤めていた会社を辞め、ニッチビジネスであった女性用自転車の設計製作会社を立ち上げました。 これが今に至るTerry Precision Bicycles For Women, Inc.の始まりです。
ジョージナはサドルの開発にも着手します。多くの女性が痛みに悩まされていました。良いサドルは坐骨部分を適度にサポートし、さらに陰部の圧迫も軽減させます。サドルに接する部分は敏感な組織がたくさんあり、長時間乗り続けることにより非常に苦痛を感じます。そこでジョージナはサドルの中央に穴をあけました。これは20世紀初頭に既にあった技術ですが、それをさらに発展させました。彼女が生み出したサドルはたちまち人気になりました。

レディースサイクルウェアの開発へ

同時期にサイクリングウエアーの開発にも着手します。フレーム制作で培った技術を礎に、女性の体にフィットし、かつ快適にサイクリングができるウエアーです。当時は90年代初頭でしたが、まだ女性用のサイクリングウエアーが少なかったのでサイクリスト達に大いに受け入れられました。
テリーのサイクリングウエアーはレーサーのような引き締まった体の人だけでなく、小柄な人、おしりの大きい人、ぽっちゃりした体格の人にも着てもらえるように設計しています。レーシーなウエアーを着るのが少し恥ずかしいと思う人々が機能的なワンピースやスカートで、普段着に近い感覚で自転車に乗れるようなラインも充実しています。彼女がこの世界に足を踏み入れた時に抱いた「すべての女性が快適にサイクリングできるように」そんなジョージナの想いが詰っています。

“我慢は必要ないと思っています”
— Georgena Terry – Founder

自宅の地下室から始まった彼女の夢は、彼女自身の信念によって現実となり今も受け継がれています。度々商品に描かれる”おてんば”な女の子。それは彼女自身であり、そして彼女がすべての女性に受け継いでほしいと願う事。
すべての女性がもっと自分らしくもっと自由にサイクリングライフを楽しめるように。

*この動画は2012年のBFF(The Bicycle Film Festival)に特別出展されたショートフィルムです。現在もハンドメイドフレームビルダーとして活躍する自身の軌跡を彼女自身の言葉で語っています。